町娘ちゃんが、頑張るお侍さんに耳かきするお話です
こちらはシリーズもの、前作についてはこちらをご覧ください
https://drive.google.com/file/d/1TUonCEpZvjxxF79gSRst2s16_QAvPWMh/view?usp=sharing
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演じていただけた方々
お侍さん、今日もお疲れ様です
◆少しの間
●意外そうに
刀も持たない身で、侍という呼び名は相応しくない、ですか?
そんなことはありません
お侍さんはたとえ今はその身分ではなくても、立派な侍の心をお持ちだと、私は思います
だって、初めての畑仕事だというのに、こんなにも一生懸命にされているじゃないですか
畑仕事はそれをずっとやっている私の両親でも、とても辛そうにしていました
●少し寂しそうに
思えば、あの頃からもう体を壊していたのかもしれませんが……
今のお侍さんは、刀をクワに持ち替えていても、とても立派な武士(もののふ)だと思います
●優しく
とはいえ、とってもお疲れですよね
どうぞ今日はもうお休みください
ご飯はもうできていますから
できれば、とっても頑張っているお侍さんに、たくさん食べてもらいたいんですけど
ぜいたくはできないので、いつも通りの麦ご飯とお漬物で我慢してください
◆少しの間
都の方では、白ご飯が当たり前に食べられているそうですね
私は生まれてからずっと、麦ご飯を食べてきたので、白いお米だけのご飯というのは想像できないんですが
●申し訳無さそうに
あっ……お侍さんは白ご飯をご存知なんですよね
ごめんなさい、思い出させてしまうようなことを言ってしまって
でも、家(うち)も、もっと裕福になれば白ご飯を食べられるようになりますから
一緒に、頑張っていきましょうね
◆少しの間(二人でご飯を食べる)
ごちそうさまでした
●優しく
お侍さん、もう眠ってしまいそうですね
私はもう少しだけ、内職をしてから寝ますけど、お侍さんはどうぞお休みください
●はっとして
あっ……そうだ
よければ、私の膝をお使いになりますか?
昔のことなんですが、母に膝枕をしてもらって、眠っていたんです
子どもにするようなことで、失礼にあたるかもしれませんが……
◆少しの間
●嬉しそうに
あ、いいですか?
ふふっ……なんだか嬉しいです
◆少しの間
いえ、お侍さんは私と暮らすようになってからも、どこかよそよそしかったので
ですが、膝枕することを許してもらえると……心の距離が縮まった感じがします
あ、では、どうぞ……!
Rここから右耳。左耳を下に膝枕されています
いかがでしょう?安心してお休みになられますか?
思えば、私もそろそろ母親になってもおかしくない歳ですね
両親を失くしてから、ほとんど人と関わることもなくて
そんなこと、考えたこともありませんでした
それを今、考えられているのは……一応、将来を考えられるかもしれない、という希望を手に入れられたから、でしょうか
◆少しの間
あの、お侍さん。よろしければ耳かきもいたしましょうか
体の疲れを癒やすのに、ちょうどいいと思うんですが
◆少しの間
もしかして、人に耳かきをされるのは初めてですか?
◆少しの間
ああ、そうでしたか……
都には、耳かきをするお店もあるそうですね
なので、今日だけはその気分に浸ってもらえれば嬉しいです
では、失礼いたしますね……
■耳かき音
●楽しそうに
ふふっ、どうでしょう?私も他の方に耳かきをするのは初めてなんです
◆少しの間
●意外そうに
くすぐったい、ですか?
●申し訳無さそに
それはそれは……少し、優しすぎたでしょうか
では、次はもう少しだけ、力を込めて……
■耳かき音
●軽く驚いて
わっ、気持ちいいお顔ですね。なんだか嬉しいです
◆少しの間
●優しく
女性にこんなことをさせるのは、申し訳ないですか?
もうっ……お侍さんってば、お優しいんですから
でも、これは私がやりたくてやっていることですから
どうぞ、最後までお任せください
■耳かき音
●嬉しそうに
ふふふっ……それに、こうやってお侍さんが気持ちよさそうにするのを見ていると、楽しいんです
後、少しだけドキドキします……ね
ね、お侍さん。改めてこちらでの生活は……いかがですか?
不便なことばかりだとは思いますが、少しでも楽しんでもらえているのなら、嬉しいです
■耳かき音
昔よりずっと、生きているかいがある、ですか
そうですか……私は生きがいなんてものは、いまいち感じたこともありませんが
●しみじみと嬉しそうに
でも、お侍さんがそう思っているのなら、私も嬉しいです
■耳かき音
●申し訳無さそうに
ごめんなさいね、私ってば全然、楽しいお話ができなくて
父や母は、楽しい話をたくさんしてくれたんです
今思えば、本当か嘘かもわかりません。でも、私はその話を聞いて、いつも笑顔になれていました
●申し訳なさそうに
なので、私も何かお侍さんに楽しいお話ができれば、と思ったんですが……
■耳かき音
●意外そうに
私と一緒にいるだけで十分楽しい?
●少し照れて
もうっ……お世辞が上手ですね
だけど、そんなことを言うのであれば、私もお侍さんと一緒の生活がすごくすごく楽しいですよ
だからこそ、こうやってお耳掃除もさせてもらっているんです
頑張るお侍さんに、少しでも安らいでもらいたいので……
■耳かき音
●嬉しそうに
ふふっ、とっても安らいでもらえていますか?
それなら、本当によかった……
お侍さんは頑張りすぎてしまうところがあるので、いつも心配しているんですよ
でも、私が癒やしの時間を提供できたのなら嬉しいです
■耳かき音
はい、この辺りで終わりにしておきましょうか
●ささやき
お侍さんのお耳、よーく聞こえるようになっていますか?
●少しいたずらっぽく
うふっ、びっくりしました?
●いたずらっぽく、ささやき
でーも、ちゃんと確認はしておかないといけませんからね
くすぐったくて気持ちいいですよね
昔、母にもされたことがあるんです
●少しいたずらっぽく
後はー……
●ささやき
こうやって、お耳に息を吹きかけるのも……(吐息)ふぅーっ
●少しいたずらっぽく
ふふ、ゾクゾクしちゃいます?
でも、強制的に体から力が抜けてしまいますからね
頑張り過ぎなお侍さんには、ちょうどいいと思うんです
では、次は反対側の耳かきもさせてもらいますね?
R右耳ここまで
Lここから左耳
■耳かき音
お侍さん、さっきよりも体を休められているみたいですね
●ささやき
私の息フーッ、効いちゃいました?
●少しいたずらっぽく
えへへっ……私は私で、お侍さんにイタズラしちゃうのが癖になっちゃいました
なので、ちょっとだけオイタしてしまうかもしれませんが、どうか許して下さいね
■耳かき音
●意外そうに
えっ……私が最近、明るくなった、ですか?
うーん、そうかもしれません……ね
やはり一人きりは寂しかったので
お侍さんに出会えてよかった……と言うと、お侍さんの事情が大変だったので、不謹慎かもしれませんが
■耳かき音
大丈夫ですか?
●心配して
でも、私が気にしてしまいますよ
武士のお家がなくなってしまうだなんて、想像もできません
■耳かき音
●驚いて
ええっ!?私がなんだか母みたい、ですか?
●少しいじけて
むーっ……私がちょっとイタズラしたからって、そんな報復はないじゃないですか
私に母親のような甲斐性(かいしょう)はありませんよ。全部、母の記憶を思い出しての見様見真似です
●少し嬉しそうに
まあ、それがお侍さんにとって快い(こころよい)ものなら、嬉しいですが……
■耳かき音
この耳かきも、そうですね……昔、母にやってもらえたのが気持ちよくて
それを私がお侍さんにできれば、なんだか大人になれるような気がして
だから……させてもらったところはあるんです
どうでしょう?私、ちゃんと大人の仲間入り、できてますか?
■耳かき音
●照れくさそうに
もうっ……お侍さんはさっきからずっと、私を肯定してばかりじゃないですか
●ささやき
私の方がお侍さんを尊敬していて、全部を肯定したいんですよ
●嬉しそうに
でもっ……お侍さんが優しくて嬉しいです
■耳かき音
ええと、その、ですね……
あまりこう、一人ぼっち同士で傷の舐め合い、とでも言うんでしょうか
そういうのは向上心がないことなのかもしれない、とはわかっているんです
でも……私達は明日を生きることさえできれば、それで幸せな身の上ですからね
だから、二人で認め合うことができればそれでいいと。そう、思うんです
■耳かき音
●照れくさそうに
えへへっ……ちょっと難しい言葉を使う真似をしてみました
こういうのをバカがしてしまうと、余計にバカっぽいですかね……
■耳かき音
さて、この辺りで終わりにしましょうか
◆少しの間
まだ名残惜しいですか?
●ささやき
でも、今日はここまで、ですよ
●嬉しそうに
お侍さんは、耳かき中は甘えん坊になってしまうようですね
●ささやき
なんだか可愛くて、大好きです。(吐息)ふぅーっ
●少しいたずらっぽく
今、油断していましたね?耳かき後はフーッがあると覚えなきゃ、ですよ
●優しく
それでは……お疲れ様でした
明日も一緒に頑張りましょうね、お侍さん