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「ぼく、最近変なんだ……」
「ふむ?変とは、どのように体がおかしいのじゃ?病気だというのなら、薬になる草はある程度わかっておるぞ。それとも……」
妾が佳子と別れてから、いくつかの時代が過ぎた後。ある山間の村に長居することがあった。そこの少年の一人に、妙に妾を意識してくる者がいて……まだ精通もしていない幼子ではあったが、どうにも妾に興奮しているらしい。
からかうようにそう言って。彼の反応を待ってみた。
「桐ちゃんと会ったり、桐ちゃんのことを考えたり擦ると、なんだか、こうっ、体がかぁーって熱くなって……!それで、桐ちゃんともっと仲良くなりたいなって……」
「もう十分に仲は良いではないか?たくさん遊んで、妾はお前を友人と思っておるぞ」
「そ、そうじゃなくって……!」
彼は顔を赤くして言う。……可愛らしい。
「桐ちゃんの、特別になりたいんだ……」
「特別、のう。では、二人でしかできない遊びをするか?これは男子と女子、二人でなければできぬことじゃ。それも、互いを大切に思い合う……特別な関係でなければできぬ」
「そ、そんなことがあるの!?そ、それで、桐ちゃんはぼくのこと……」
「うむ。憎からず思っておるよ。そうでなければこんな提案、せんじゃろう」
「じゃ、じゃあ……!!」
ぱぁっ、と彼の顔が明るく、興奮に彩られる。
……全く、男子とは単純なものだと思いながら。しかし、妾自身も胸が高鳴らない訳ではなかった。
「とにかく、じゃ。これは他人に見られてはならぬ、二人きりでしなければならないことなのじゃ。確か村外れに今は使われていない蔵があったじゃろう?そこでしよう。少々古臭いが、まあ今すぐに崩れるようなものでもあるまい」
「う、うんっ!二人だけの秘密、だね!」
「うむ。秘密じゃ。決して誰にも言ってはならぬぞ?それが約束できるな?」
「うんっ。桐ちゃんとだけの秘密!!」
妾はいつまでも幼子の姿をしている。だが、もう何百年も生きていた訳で、当然ながら見た目と精神での年齢の乖離は起きていた。
しかし、妾自身が初めてのことで、少々舞い上がっていたのは間違いない。彼と同じように興奮し、ドキドキし……蔵へ向かった。
ちなみに、当時は衛生がどうだとかという知識はなかったので、見るからに不衛生な蔵で裸になることが問題だとは感じなかった。むしろ、ちょうどよい隠れ家で……素敵とすら思っていたと思う。
「うむ、ここならばよいな。して……どうしたものか」
「えっ?な、何をするの?」
「ええと、じゃな……妾も知識としては知っているのじゃが、具体的にどうするのかは……とにかく、じゃ。下半身を見せてはくれんか?」
「えっ……?そ、それって桐ちゃん裸、見せるってこと?」
「うむ、そうなる……のう」
当然のように彼は赤面し、もじもじとして……しかし、どこか期待も混じった涙目で妾の方を見る。
「桐ちゃんは、ぼくの裸、見たい?」
「興味はある、の……逆にお前は妾の裸が見たいか?」
「うん……見たい、な…………」
「ならば…………」
妾自身、胸が高鳴っている。明らかに顔が赤くなっているのもわかり、舞い上がる中……こう言った。
「一緒に裸になろうか」
「うんっ……!!」
幼い者同士。妾は長く生きているといえど、性的な知識をほとんど持ち合わせていない、初めて同士の初々しい行動だった。
おずおずと着物を脱ぎ、互いの裸を晒す。当然、相手の一物は小さな、子どものものであり、勃起もしていなかった。しかし……。
「き、桐ちゃんの体、きれい…………」
「そうかのう?あまり他人と比較できるものだし、違いがわからぬが……」
「でも、すごくきれいだよ!すっごく可愛い!!」
「ふ、ふふっ……そう言われて悪い気はせんのう。お前の裸も……うむ、可愛らしいと思うぞ」
「ぅぁっ…………」
「な、なんじゃ?」
ビクリ、と股間のモノが震える。幼いながらも異性。それも愛しく思う相手の裸を見て、本能的に男として興奮しているのだろう。
それを見て妾もまた、一層気分が高まってきてしまう。
「な、なにこれっ……?おしっこしたい訳でもないのにっ……!んんっ……!!」
そして、そのままモノは小さいながらも屹立し始める。小さいと言っても、妾の体も小さいのだから丁度いい大きさなのかもしれないが……。
「それはな、お前が妾に興奮しておる証拠じゃ。このちんぽをな……こうやって触られたりすると、心地いいじゃろう?」
「ふぁああっ!?な、なに、これっ……!?こんなの、初めてっ……!!」
軽く肉竿を小突いてやると、それだけで激しく感じる。
思った以上に男子は弱いものだ、と思わず得意になってしまい、更に刺激していく。
「ふふふっ、こうやって女子にちんぽを心地よくさせられる……これが男女二人きりでする“秘密のこと”じゃ。本当は大人がすることなのじゃがな、しかし、お前は妾が好きなのじゃろう?」
「う、うんっ……!うっ、ふぁああっ!!だ、大好きだよ、桐ちゃんっ……!気持ちいいのもっ、んふぁっ!!すきっっ……!」
「そうか、そうか……妾も可愛く喘いでいるお前が好きじゃ。このままもっと心地よくさせてやってもよいか?」
「うんっ……!!もっと、もっと欲しいよぅっ!!」
「うむうむ、そうか。では……」
きゅうっ、と根本近くを握り、そのまま先端までしごいていく……。
「ふぁあああんっ!い、いいよっ、それっ……!!すごくっ……ぅううっ!!」
「ふふっ、ちんぽがビクビク震えよる……それにすごく温かい…………」
「あっ、あぁあっ……!!ど、どうしよっ?おしっこ、漏れそうっ……!!」
「なっ!?い、いや、それは我慢してくれんか!?お前のおしっこ塗れにはなりたくないぞ……」
「ご、ごめんねっ!で、でもっ……!!」
「うひゃぁああっ!?」
突然、皮被りの先端からじわりっ、と半透明の液体が流れ出した。
ドロッとしたそれは、ちんぽを掴んだ妾の指を垂れ落ちていく。
「あ、れっ……?おしっこじゃない……?」
「これは……精液というものなのじゃろうな。ふふっ、お前は今までこんなものを出したことがなかろう?妾が初めてお前を大人の男にしてやった、ということじゃな」
「こ、これが大人になったってこと……?」
「うむ。それが子種、赤ちゃんを作るために必要なものらしいのじゃ。それを女子の中に出すことで、子を授かれるという……まあ、手では子どもなどできぬから、これは無駄撃ちというものじゃが」
「そ、そうなんだ……桐ちゃん、なんでも知ってるんだね」
「ふふっ、お前より少しばかり長く生きておるからな。どれっ……れろっ、ちゅるぅっ……ん、んむぅっ……味はあまり美味くはないのう」
「ええっ!?そ、そんなの舐めていいの!?」
目を丸くする彼を見て微笑ましく思いながら、しかし想像以上の酷い味に少し落胆する妾がいた。もっとこう、女子が男子を気持ちよくさせた証なのだから、上等な味なのを想像していた。これでは、あまり飲みたいとは思えない。
「……しかし、妾も一通りのことは経験したいからな」
「えっ?」
「今、妾は手でちんぽを気持ちよくさせたがな……これを口で咥えるやり方もあるのじゃ。それを試してみよう」
「お、おちんちん咥えるの……?」
「うむ……少し覚悟はいるがの。しかし、できるだけのことはやりたい。してもよいか?」
「い、いいけど……でも……桐ちゃんに酷いことはしたくないから…………」
「気にせんでよい。妾がしたいと言っていることなのじゃ。お前が罪悪感を覚える必要はなかろう」
「で、でもぅ……んふぁっ!?あっ、あぁっ……!?こ、これっ……!!くっ、ふぁあああっ!?」
「んむむぅうっ……!!れろぉっ……れろじゅっ、ちゅるっ、じゅるじゅるっ……んむっ、ふぅっ……んふっ、なはなはっ……おもひろい感覚じゃっ……」
「く、口の中、震えてっ……!ふぁああああっ!?」
小さいモノとはいえ、妾が咥えるとまともに喋れないほど口内がふさがってしまう。
まだ少し、精液の絡みついているモノは、やはりまずかったが……だが、不思議とちんぽを咥える、その行為自体は嫌だという感じがしなかった。彼が喜んでくれるのが嬉しかったのだろう。
「じゅるじゅっ……れろっ、れるむぅうっ……じゅっ、じゅっちゅっ、じゅるるぅうっ!!!」
「き、桐ちゃっ!!ごめっ、また出っ……!!くっぅぅううんっ!!」
「んむぅうううんっ!?むっ、んあむぅううっ!?」
突然、震え出したモノが精液を吐き出していく……ぴゅっ、ぴゅっ、と中々切れない尿のように飛び出した精液は、量は少なかったがそのえぐみを口内に残していき……思わず吐き出してしまいそうになったが、それは彼に失礼だから……頑張って飲み下す。
「んんっ……んじゅっ、ずずるぅっ……んっ、むぅっ…………」
「あっ、あぁっ……桐ちゃん、飲んじゃった……?」
「あむぅつ……んっ、この通りじゃっ……あぁんっ…………」
「そ、そんな口を開けて見せるなんて……は、恥ずかしいよっ…………」
「んふっ、可愛いのう、お前は。しかし、うむ……妾もわかってきたぞ。ちんぽというのは本当に敏感なんじゃな」
「う、うんっ……ぼくも初めて知ったよ……こんなに気持ちよくなれるんだ…………」
「お互い初めて同士、貴重な体験ができているのう。――さあ、そろそろ本番と行くか」
「本番……?」
きょとんとした顔で妾を見る彼が可愛らしい。
「うむ。子作りの本番じゃ。まあ、妾たちは子どもゆえ、まだ実際に子どもを作れはせんのじゃがな。妾の親たちがしていたのと同じことをしよう」
当然ながら、嘘だった。妾は今の姿で成熟していると言えるが、人間との子どもは作れない。いや、そもそも座敷童自体が子どもを作らない種族だ。
そして、妾に親がいるというのも嘘。しかし、今の妾はあくまで彼の友達、ただの人間の女の子でありたかった。
「と、父ちゃんたちがしてたこと……いいの?」
「そっちこそ。妾はしても構わんと思っておるぞ?」
「そ、それなら、ぼくも……桐ちゃんと子作りごっこ、してみたい!」
「ふふっ、ごっこ、か。うむ。ごっこ遊びだが、こういうのは経験を積んでおくのに越したことはなかろう。楽しもうな。由兵衛(ゆうべえ)」
「う、うんっ……!」
これまで一度も名前を呼んでいなかった妾が、突然名前を呼んだことに驚いているのだろう。戸惑ったように笑い、しかし、嬉しそうにしていた。
「そのちんぽをな、妾のここに挿れるのじゃ。どうじゃ、わかるか?言っておくが、挿れる穴を間違えるでないぞ……」
「えっ!?お、女の子ってこんな風になってるんだ……!」
「うむ、ちんぽが女子にないことは知っていたが、実際にどうなっているかは知らなかったじゃろう?ここの穴、じゃ。自分で挿れられるか?」
「え、えっと……」
もじもじとする彼。可愛らしいが、いつまでも待ってはいられないので……思い切って妾の方から飛び込むようにしてすり寄る。
「うわっ……!」
「じっとしておれ。妾が導いてやろう……んっ!」
「あっ、あぁっ……桐ちゃんのここ、濡れてる……?」
「うむ……お前が子種汁を出したように、女子もまたちんぽを受け入れるため、こういったものを出すのじゃ……興奮しているとたくさん出るのじゃぞ」
「桐ちゃん、すっごくいっぱい……興奮してくれてるの?」
「うむっ…………」
自分ではわかっていたことだが、改めてそう言われて……恥ずかしくて赤面してしまう。
だが、だからこそ早く彼を中で迎え入れたくて……思い切って腰を持ち上げ、先端を咥え込んでいく。
「うっ、くぅうっ……!!」
「うぁああっ!?き、桐ちゃんっ……!」
「んっ、ふふっ……濡れているとはいえ、これは中々大変そうじゃなっ……。だが、安心せい……きちんと気持ちよくさせてやるから、なっ……!うっ、くぁあぁあっ……!!」
入り口で彼のモノを咥えたことを確認して、一気に腰を下ろす。
未経験の中が押し広げられていくのを感じるのと共に、勢いよく下ろしたものだから……ぷつんっ、と中で何かが切れたような感覚と共に、鋭い痛みが走った。
「き、桐ちゃん、血がっ……!?怪我してるの……?」
「んっ、くっ、うぁっ……!!だ、大丈夫じゃ……こういったことを初めてする女子はな、こうして血が出るものでな……。んっ、ふぅっ……痛みもあるが、これがお前に妾の初めてをあげられた証じゃ。むしろ誇りに思ってほしい」
「ぼくが、桐ちゃんの初めて……」
「うむ。そして妾はお前の初めての相手じゃぞ。こんなに可愛い娘と初めてを経験できたのじゃ。ありがたく思うんじゃぞ?」
「うんっ……桐ちゃん、大好きっ…………」
さすがに処女喪失後、すぐに動くこともできず、そんなことを言いながら……幸せそうな彼の顔を見つめる。……妾も同じような顔をしているのだろうか。
だが、少しだけ寂しさもある。彼にとってこれは間違いなく性行為だが、妾は人との子を作れないのだから、妾にとってのこれは予行練習ですらない、ただの“ごっこ遊び”だった。
「(しかし、こうやって気持ちよさそうにして喜ぶこやつの顔を見れただけで嬉しい、な……。他の生き物は交尾に命すらかけるというに、人はそれを娯楽ともするようじゃし、のう)」
呆れたような、感心したような。しかし、彼があんまりに嬉しそうだから。
「んっ、よい、しょっ……少し動こうか。中に挿れただけでは子種を出せないじゃろう?」
「う、うんっ……。でも、ぼくは桐ちゃんとつながってるだけで嬉しい、よ?」
「甘えた目で見るでない。子種をちゃんと出してこその行為じゃ。そら、動く、ぞっ……!うっ、くぅっ……!」
腰を持ち上げ、彼のモノが中を通過していく感覚を味わう……残念ながら、初めてだからなのか、妾が人ではないからなのか、快感を覚えることはできない。しかし、彼は気持ちよさそうに目を細めた。
「うっ、ふぁあっ……!い、いいよ、桐ちゃんっ……!桐ちゃんの中、絡みついてっ……!!!くっ、うぅううっ……!!!」
「ふ、ふふっ……よっぽどイイんじゃな?ほれ、もっと動かしてやろう……思い切り出してくれて構わんぞ?どの道、妾たちは子ども。本当に子作りはできんのじゃ」
「うっ、うぅうううっ……!!!」
持ち上げた腰を下ろすと、ぱちゅんっ、という水音がした。それが頭の奥にまで響くようで……快楽はなくとも、興奮が加速する。
「んっ、くぅっ、ふっぅううっ……!!!ほれ、どうじゃっ……?妾とできて、嬉しいか……?」
「うんっ、嬉しいよっ……大好き……!桐ちゃん、桐ちゃんっ……!!」
「うっ、くぁっ、んっ……!!な、中でもっと大きくっ……も、もうっ、中がお前でいっぱいじゃっ……」
「はぁっ、はぁ、はぁぁあぁんっ……!!ご、ごめんっ……!もっと桐ちゃんと楽しみたいんだけどっ……!で、出るっ……!!」
「うむっ……存分に出すがよい……。早いなどと軽蔑はせんぞ。むしろ、可愛いお前が見れて満足じゃ」
「あっ、あぁぁああ!!!」
「んふっ……!!」
ビクンッ、中で肉棒が激しく脈打ち、膣壁が密着しているためか、その中を精液が駆け上がっていくのがわかる。そして、先端から吹き出せば……。
「あっ、あぁっ……!!こ、これぇっ……!い、今までよりずっと多いっ……!」
「あっ、あぁぁあああっ!と、止まらないよぉおっ……!!」
「はぁっ、あっ、あぁぁっ……!!!お、溺れてしまうっ……!中ぁっ、あふれるぅっ!」
「うっ、くぁあああああ!!!」
肉棒はどんどん妾の中に精液を送り込んでいき……やがてそれが止まると、なんとも言えない充足感と、本当に彼と性交をしたのだという……満足、だろうか。そんな気持ちが溢れてきた。
「あっ、あっ、あぁっ…………」
「もうっ、女子の方にこそ負担がかかるだろうに、お前の方が息切れしてどうする?妾はまだまだ元気じゃぞ」
「ご、ごめっ……でも、桐ちゃんに……大好きな桐ちゃんに赤ちゃんのもと出せると思うと、それが嬉しくて……。いっぱい、出しちゃった……」
「そうか、そうか。可愛い子じゃな……」
荒い息をしている彼の頭を、妾は優しく撫でた。まだ中に彼を感じているというのに、赤子をあやすように頭を撫でていると、妙な気持ちになってくる。しかし……。
「(妾からすれば、どんな人間の老人も赤子同然じゃな。……うむ。妾は人の母と考えていいのかもしれん)」
そんな気持ちがして、いつまでも彼をあやし続けていた。